丸山という名前について

全国的に広く「がんもどき」と呼ばれている食べ物がありますが、

一ノ谷豆腐店では「丸山」というものを作っています。

「丸山」は富山県西部の一部のみで作られている食べ物でで

一般的な「がんもどき」より大きく、中に人参や銀杏などの具が入っています。

古くから、富山県に多い浄土真宗の行事で出されてきた、特別な食べ物だったようです。

 

富山大学人文学部教授の中井精一先生によると、「丸山」という名前は

京都市東山区円山(まるやま)から来ていると考えられているそうです。

以下、中井教授の文章を引用します。

 

マルヤマは、京都市東山区円山に由来すると考えられている。

円山周辺には、江戸時代の始まる頃から祇園豆腐で有名になった藤屋と中村屋という

2軒の茶屋があって、串を2本挿し、焼きあがった豆腐に、京風の白味噌をつける田楽があった。

京を訪れた旅人が八坂神社に参拝した際には、必ずこの地の田楽を食べたと言われるほどの

評判になり、中村屋は現在でも中村楼と名を変えて門前で続いている。

京に上がる人々と京から各地に下る人々の話をつうじて、祇園豆腐の名は全国に広く知れ渡るとともに、

円山は豆腐料理の代名詞となっていった。

このことが北陸庄川流域に伝わるに及んで、豆腐加工食品であるがんもどきを

マルヤマと呼ぶきっかけになったのではないだろうか。

(BIOSTORY vol.21より)

 

丸山という呼び方をする場所は、富山県を流れる庄川周辺に分布しています。

もしかしたら河川の水運を通じて、丸山がひろまったのかもしれません。

 

富山県には他にも「マルアゲ」「ガンモドーフ」という名前で呼ぶところもあります。

「マルアゲ」は「丸山揚げ」が縮まった呼び方、「ガンモドーフ」は「がんもどき」から

派生した言葉ではないかと考えられているようです。